まとめ

このRIGの故障原因と経緯を推定すると

・7MHz帯の拡張改造に失敗。コントロールユニット基板のパターンを切ってしまったことからすべてが始まったと推定。
 これにより、フィルターユニットにBAND切り替え情報が行かなくなる。
 フィルターが選択されなくなったことで ファイナルの負荷が 開放状態になる。アンテナをつないで無い状態と同等になる。
 この状態で、送信したことによりファイナル焼損。2個のMOSFETのうち 1個が生き残ったことが不幸中の幸い。

自力修理を試みたが(webにある電解コンデンサの交換など)、ハンダ付け不良や部品の紛失。原因は電解コンデンサではないので
修理できず。自力修理をあきらめた。
電源が入らなくなったので 電球による熱が要因と思われる液晶の劣化が免れたか? 


ということだと思います。

最後に たばこ臭かった件。可能な限り、分解して清掃を実施。これで なんとかなったんじゃないか。


ほかに不具合が無いか、しばらく様子を見てみます。

修理開始    令和5年(2023年)12月 6日
修理完了日   
令和6年(2024年) 2月 6日

【 動作試験 】 


 アンテナをつないでみました。7MHz帯を受信してみまたしたが、QSOがなにも受信できない。どのBANDも SSBのノイズだけ。
BC帯を受信してみる。ラジオの送信アンテナまで ほんの数キロの放送局がやっと受信できる状態。
これはひどい。受信が動作してない。かろうじて受信できているので 本質的には動作している模様。
さて、原因の追及をはじめます。
アンテナコネクタに近い方から確認しますか。
まず、ANT1とANT2の切り替えリレー 手前に アンテナを接続した。   →    状況に変化無し →  ANT1・2 切り替えリレーが原因では無い
    ATT と プリアンプ を 動作させてみる。      →  変化あり →  ATT・プリアンプ回路が原因では無い
    受信のフィルター回路のアンテナ側 に アンテナ接続  →   状況に変化無し  →  送受信切り替えリレーが原因では無い
    受信のフィルター回路の手前にアンテナ接続        →   受信できる  → フィルター回路が周波数によって切り替わっていない?
という実験の結果、フィルター回路が動作してないようです。
さらに、電圧を当たっていくと フィルター回路に バンド情報の信号が来てないようです。
バンド情報は、ロジックユニット から シリアル信号で メイン基板に送られ、デコードされている。モード情報なども同様に送られている。
モード情報は正しく送られているので バンド情報に関する故障か。

Yahooオークションで ICOM IC−736 ジャンク品を手にいれました。
HF & 50MHz のリグで 液晶が劣化で不良が多く、電解コンデンサの液漏れが多発との情報。
1993年の発売。もう30年も経ったんですね。

修理記録です。


【 入手時点での説明 】
   (写真1 〜 写真2)

 電源入らず。見た目はきれい。その他 不明。

【 実物をみる 】

・確かに 電源はいらず。元のオーナーが 電源が入らないため FUSEを確認しようとしたのか。
 FUSEホルダを開けるのに適正な工具を使わなかった?か FUSEホルダが破壊されている。  (写真3)

・たばこ臭い。 家族にとても不評。

バイアスを絞った状態で 240mAくらい

こんどこそ大丈夫?これでどうでしょう。

ファイナル段のアイドリング電流を調整
+200mA で 660mA

ドライブ段のアイドリング電流を調整
+200mA で 460mA
ちょっと多かったか?

@ 送信します。このときの 電流計を記録。

A R8で、電流計の指示が +200mA になるよう調整。

B R44で、電流計の指示が さらに+200mA になるよう調整。

準備

電源ユニットの28Vラインに電流計を接続。ANTには ダミーロードを接続。

周波数を  14.10000MHz
モード    USB
R8 R44  反時計回りにいっぱいに
R49     中央
[RF PWR]  時計回りにいっぱいに
[MIC]    反時計方向にいっぱいに
[TUNER] OFF

の、はずだったんですが.....

 変調がおかしいということで、再調整。
心当たりがあります。ファイナルのバイアス調整をサボったんです。

やってみましょう。

サービスマニュアルに従います。

これで、再組み立て。ATUも無事動作しているようです。


以上で、IC−736 修理完了とします。


      

修理メニューへ

モーター

カップリング

様子を見てみたら............
ATUが正常でないような



ANTにダミーロードを接続して、ATU(チューナー)を起動してみると、チューニングできるときと できないときがある。(できないときの方が多いかな)
エアーバリコン2個をそれぞれモーターでまわしてるんですが、感触的には、1個は動いてるようですが もう1個が回ってないような気がします。
修理完了への道は、まだまだ続きそう。

さて、点検します。
ATUユニットを分解して モーター2個を一度取り外し。バリコンとモーターとは 樹脂製のカップリングで接続されています。
カップリングとは 2個のイモネジで固定されています。
モーターの内部の歯車が固着してるのかな?と思い、一度取り外してモーターの軸を手で回してみたところ、1個は容易に回りましたがもう1個は手では回りませんでした。
そこで、モーターの軸をラジオペンチでまわしてみました。何回かまわして スムースに回ることを確認。もちろん 内部で歯車があるので、ある程度の重さがあるのは当然ですね。
フリーで回ってしまってはダメです。。
これで もう一度組み付けして 分解状態で 動きを見てました。

分解したATUユニット。
モーターとバリコンのカップリングが見えます。

駆動モーターです。減速ギアが入っているのかな

ATUユニット

矢印のチップ抵抗を外して 半固定VR(R597)で 調整。

それにしても、老眼には厳しい。

分解してから時間が経ったので、組み立ての手順を忘れていました。
PAユニットの電源の線をフレームに通してから、基板をネジ止めするとか......

何回もネジを外したり付けたりを繰り返してしまいました。なさけない。

ファイナル MRF174 を 1個交換


シリコングリスを 塗り直して組み立て。

これですね。部品取り機から。

パターン切れ

 新たな欠点が.....

 フィルターユニット基板を修正していて、変だなあと思っていたんですが、シールド板が1枚欠品していることに気づきました。

メイン基板の受信フィルター

この 34番の部品がついていませんでした。

品名:1413 PAカバー

自作するか、部品取り機を探すか。

PAユニット

D15

なにか漏れた様子がありますが、致命的ではないような気がします

矢印の2つ以外の電解コンデンサをすべて交換

カバーをとり シールドカバーを外した

実機で確認してみた。

D17

D15には、D17が並列接続されてます。
仮に D15を 取り外した(切った)としても D17があると 何も起こらないと思うのです。
D17が ついてなければ みなさんのおっしゃるとおりです。ここに登場するダイオードは プリントパターンはありますが
ダイオード自体は ついていないものがありますから。サービスマニュアルによると 使用パーツリストには D17は 登場しません。 

【 照明の電球をLEDに 】


 webサイトを見ていると このRIGの液晶の劣化原因の一つに バックライトの熱があるのでは無いかとの情報。
たしかに あり得るかも..... ということで、LEDだと電球に比べてかなり発熱量が少ないので、LEDに置き換えることにした。


・ Sメータの照明電球

手元にあったのは 白色のLEDで 順方向電圧が 3.4V 電流20mAで いい感じに光ることを事前に確認。光の拡散キャップを取り付けた。
直列の電流制限抵抗は、( 13.8V − 3.4V ) / 20mA =  520Ω   消費電力は  20mA × 20mA × 520Ω = 0.208W
ということで  1/4Wの抵抗では、ぎりぎりなので 手持ちの関係で、2Wタイプを使った。
実際には E24系列から抵抗を選びます。



ロジックユニットを調査です。
といっても 老眼には あまりにも過酷。
ロジックユニット基板の調査中に もしや とおもったことがありました。
それは、7MHz拡張のD22が外されていたんですが、D22の周辺が、外した際の半田こてでついたフラックスなどの汚れがついていたのを思い出したんです。
綿棒にアルコールをつけて掃除した後、ルーペで見てみると D22 の 隣にあるパターンが断線していました。
切れたプリントパターンを ジャンパーしてみました。

D22

CPUからの制御信号

デコードされたBAND信号

トランジスタアレー

D17は ついてませんでした。
空きパターンとなっていた。

7MHz帯の拡張
 
icomのHPに出てます。D22をとるそうです。ダイオードをとって初回電源ON時に 自動でリセットがかかるんだって。
D22は サービスマニュアルの回路図にも書いてあります。でも、基板図には書いてありません。D22は 日本向けのRIGにだけついてるんですね。
また、日本向け本機(IC−736Sだったかな)をアメリカの方が入手され、改造されたことが紹介されたページがありました。


アレ について

海外のサイトによると.......
D15をとると 「アレ」 との 情報がある(2023年の流行語)。 でも、サービスマニュアルの回路図を見て不審に思う。D15だけとっても なにも起こらないのでは?

【 7MHz帯の拡張 と アレ 】 

代用のLED。点灯テスト。
中央に電流制限抵抗。

こんな感じです。
明るさは 半固定VRで調整可。

元の電球の電流を測ってみた。
130mAでした。
LEDだと 20mAです。

液晶を取らないと
電球に手出しができないみたい。

液晶を外した。なかなか、大変です。

電球が見えた。

取り出した電球。
いまは、貴重品。保管しときます。

こんなとこに虫。

・ 液晶のバックライト電球

同様に LEDに置き換えますが LEDを2個直列にしようかと。
電流制限抵抗は、  ( 13.8V − 3.4V × 2個 ) / 20mA = 350Ω。消費電力は 20mA × 20mA × 350Ω = 0.14W ・・・・ 1/4W でよし。
これを 4組。

喜んでいる場合では無い。原因が PAユニット(ファイナル)部分にあるということです。
PAユニットだと、ファイナルのFET(石 って書くのは昔の話かな)が不良の場合は とても高価です。
さらに、原因を追います。

やっぱり ファイナルの MRF174 が 壊れているのか。基板から外してみました。

2個のうち1個は テスターによるチェックでも、簡易チェッカーでも NGでした。

PAユニット基板。フィルターユニットの下にある。

確かに電解液がしみ出しては来ていますが、電源が入らないことについて、決定的な原因ではなさそうです。
そう思いながら交換しましたが、結果は.............

PAユニット基板の裏側をみてみると、電解コンデンサを交換した形跡が。
しかも ハンダ付けが イモハンダ。リードは 長く伸びていて ショートしてしまいそう。
まずは この辺を修復。ついでに 85℃のものがついていたので 105℃のものに換えた。
動作テストしたが 状況は変わらず。


元の持ち主が 故障したので、電解コンデンサなどを交換して修理を試みたものの、直らず 放棄したのかな?

こちらは ok のようです。

チェッカーで 検査。

unknown だって。

MRF174をはずした PA ユニット基板

取り外した MRF174 2個

テスターのチェックで1個はNG

【 電源基板の電解コンデンサを交換 】
 

写真3  FUSEホルダが破損していた

写真2 後ろから

写真1 手に入れた IC736
     電源入らず。

ICOM IC−736の修理

 フィルターユニット

 アンテナコネクターとつなぐジャンプワイヤーが ズタズタなので 見た目にも交換しようとおもます。
抵抗の形をした0Ωジャンパーがありますので これを使います。



次は、送信機能の復旧作業です。

50MHz帯の100W化

送信テスト。 100Wを確認。
50MHz帯は50W。

電源が入ったので 液晶に 多発しているトラブルは ないことがわかった。

でも 今後はわかりませんが。
液晶が ダメだった場合は LED化しようかな と考えていました。

切れたパターンをつないでみると 見事に受信が復活。
長い道のりでした。
回路図と プリントパターン図のにらめっこが 3日間続いたんですが これで解決。
送信のフィルターユニットのリレーも パネルのBANDを切り替えると動いているのを確認しました。

受信が動作しないことが判明したときには、素人には 修理する心が折れそうでした。

D17は サービスマニュアルの基板図ではこれでしょうか?

BAND切り替え信号処理部分の回路図を下に示します。

ロジックユニットから シリアルで送られてきた信号は、下に示す回路で デコードされます。信号線は3種類。
STB(ストローブ信号) CKS信号(多分クロック信号) TXS(多分データ信号)です。STB信号は STB1 から STB3まであります。
オシロで 信号を見てみると STB1だけが確認できません。ストローブ1が 来てないようです。これは バンド情報が来ないことと矛盾が無いと思います。
そこで、どこで信号が途絶えているのか オシロとテスターでたどってみます。メイン基板のコネクターまで遡ってもストローブ信号を確認できません。
ということは ロジックユニットか、フレキケーブルかということです。フレキケーブルは、テスターで導通を確認しました。

拡散キャップをつけた発光ダイオード
メータ部分に使ったのは1個です。

電流制限抵抗を通して配線/取り付け

写真は、NHK東京第一放送を受信している様子です。
アンテナは 2mほどのビニル線です。Sメータが 9+を示しています。

うれしくて 写真を撮ってしまいました。
文章にすればこれだけなんですが 回路解析や調査で 3日かかりました。

余談ですが..... 
7MHz帯の拡張改造で RIGを壊して 受信できなくなった。
7MHz帯が拡張されたのは 平成21年だった?。この頃 壊したんですね。
 実働時間そのものは 短かったんでしょうね。
これが 液晶が奇跡的に無事だった要因かもしれないと思いました。

webで よく見るパターンは 電源ユニットの電解コンデンサの容量抜け。交換したら直ったような話が多い。交換してみます。

PAユニットの基板が NGなのは、ほぼ確定。では どこか判断するために 回路を切り分ける。

MRF174の特性図

PAユニットの 矢印の抵抗を外してみた。これで ファイナルのドレイン側と それ以前を分離できます。
この状態では RIGの電源が正常にはいります。
ゲート電圧は 受信時 0Vを確認。これで ドレイン電流が流れるのはおかしいことになります。

結果は、やっぱり電源はいらず。

電源スイッチを押すと、リレーの動作音のような音が聞こえる。一部 動作しているのか?
切り分けて原因を見てみる。
まず PAユニット(ファイナル)に 28Vを供給するコネクタを抜いてみたところ 無線機の電源が入って 受信音が聞こえてきた。

電解コンデンサの周辺のリードが黒く変色している