まとめ
このRIGの故障原因と経緯を推定すると
・7MHz帯の拡張改造に失敗。コントロールユニット基板のパターンを切ってしまったことからすべてが始まったと推定。
これにより、フィルターユニットにBAND切り替え情報が行かなくなる。
フィルターが選択されなくなったことで ファイナルの負荷が 開放状態になる。アンテナをつないで無い状態と同等になる。
この状態で、送信したことによりファイナル焼損。2個のMOSFETのうち 1個が生き残ったことが不幸中の幸い。
自力修理を試みたが(webにある電解コンデンサの交換など)、ハンダ付け不良や部品の紛失。原因は電解コンデンサではないので
修理できず。自力修理をあきらめた。
電源が入らなくなったので 電球による熱が要因と思われる液晶の劣化が免れたか?
ということだと思います。
最後に たばこ臭かった件。可能な限り、分解して清掃を実施。これで なんとかなったんじゃないか。
ほかに不具合が無いか、しばらく様子を見てみます。
修理開始 令和5年(2023年)12月 6日
修理完了日 令和6年(2024年) 2月 6日
【 動作試験 】
Yahooオークションで ICOM IC−736 ジャンク品を手にいれました。
HF & 50MHz のリグで 液晶が劣化で不良が多く、電解コンデンサの液漏れが多発との情報。
1993年の発売。もう30年も経ったんですね。
修理記録です。
【 入手時点での説明 】 (写真1 〜 写真2)
バイアスを絞った状態で 240mAくらい
こんどこそ大丈夫?これでどうでしょう。
ファイナル段のアイドリング電流を調整
+200mA で 660mA
ドライブ段のアイドリング電流を調整
+200mA で 460mA
ちょっと多かったか?
@ 送信します。このときの 電流計を記録。
A R8で、電流計の指示が +200mA になるよう調整。
B R44で、電流計の指示が さらに+200mA になるよう調整。
準備
電源ユニットの28Vラインに電流計を接続。ANTには ダミーロードを接続。
周波数を 14.10000MHz
モード USB
R8 R44 反時計回りにいっぱいに
R49 中央
[RF PWR] 時計回りにいっぱいに
[MIC] 反時計方向にいっぱいに
[TUNER] OFF
の、はずだったんですが.....
変調がおかしいということで、再調整。
心当たりがあります。ファイナルのバイアス調整をサボったんです。
やってみましょう。
サービスマニュアルに従います。
これで、再組み立て。ATUも無事動作しているようです。
以上で、IC−736 修理完了とします。
モーター
カップリング
様子を見てみたら............
ATUが正常でないような
ANTにダミーロードを接続して、ATU(チューナー)を起動してみると、チューニングできるときと できないときがある。(できないときの方が多いかな)
エアーバリコン2個をそれぞれモーターでまわしてるんですが、感触的には、1個は動いてるようですが もう1個が回ってないような気がします。
修理完了への道は、まだまだ続きそう。
さて、点検します。
ATUユニットを分解して モーター2個を一度取り外し。バリコンとモーターとは 樹脂製のカップリングで接続されています。
カップリングとは 2個のイモネジで固定されています。
モーターの内部の歯車が固着してるのかな?と思い、一度取り外してモーターの軸を手で回してみたところ、1個は容易に回りましたがもう1個は手では回りませんでした。
そこで、モーターの軸をラジオペンチでまわしてみました。何回かまわして スムースに回ることを確認。もちろん 内部で歯車があるので、ある程度の重さがあるのは当然ですね。
フリーで回ってしまってはダメです。。
これで もう一度組み付けして 分解状態で 動きを見てました。
分解したATUユニット。
モーターとバリコンのカップリングが見えます。
駆動モーターです。減速ギアが入っているのかな
ATUユニット
矢印のチップ抵抗を外して 半固定VR(R597)で 調整。
それにしても、老眼には厳しい。
ファイナル MRF174 を 1個交換
これですね。部品取り機から。
パターン切れ
新たな欠点が.....
フィルターユニット基板を修正していて、変だなあと思っていたんですが、シールド板が1枚欠品していることに気づきました。
この 34番の部品がついていませんでした。
品名:1413 PAカバー
自作するか、部品取り機を探すか。
PAユニット
D15
なにか漏れた様子がありますが、致命的ではないような気がします
矢印の2つ以外の電解コンデンサをすべて交換
カバーをとり シールドカバーを外した
実機で確認してみた。
D17
D15には、D17が並列接続されてます。
仮に D15を 取り外した(切った)としても D17があると 何も起こらないと思うのです。
D17が ついてなければ みなさんのおっしゃるとおりです。ここに登場するダイオードは プリントパターンはありますが
ダイオード自体は ついていないものがありますから。サービスマニュアルによると 使用パーツリストには D17は 登場しません。
【 照明の電球をLEDに 】
ロジックユニットを調査です。
といっても 老眼には あまりにも過酷。
ロジックユニット基板の調査中に もしや とおもったことがありました。
それは、7MHz拡張のD22が外されていたんですが、D22の周辺が、外した際の半田こてでついたフラックスなどの汚れがついていたのを思い出したんです。
綿棒にアルコールをつけて掃除した後、ルーペで見てみると D22 の 隣にあるパターンが断線していました。
切れたプリントパターンを ジャンパーしてみました。
D22
CPUからの制御信号
デコードされたBAND信号
トランジスタアレー
D17は ついてませんでした。
空きパターンとなっていた。
7MHz帯の拡張
icomのHPに出てます。D22をとるそうです。ダイオードをとって初回電源ON時に 自動でリセットがかかるんだって。
D22は サービスマニュアルの回路図にも書いてあります。でも、基板図には書いてありません。D22は 日本向けのRIGにだけついてるんですね。
また、日本向け本機(IC−736Sだったかな)をアメリカの方が入手され、改造されたことが紹介されたページがありました。
【 7MHz帯の拡張 と アレ 】
代用のLED。点灯テスト。
中央に電流制限抵抗。
こんな感じです。
明るさは 半固定VRで調整可。
元の電球の電流を測ってみた。
130mAでした。
LEDだと 20mAです。
液晶を取らないと
電球に手出しができないみたい。
液晶を外した。なかなか、大変です。
電球が見えた。
取り出した電球。
いまは、貴重品。保管しときます。
こんなとこに虫。
・ 液晶のバックライト電球
同様に LEDに置き換えますが LEDを2個直列にしようかと。
電流制限抵抗は、 ( 13.8V − 3.4V × 2個 ) / 20mA = 350Ω。消費電力は 20mA × 20mA × 350Ω = 0.14W ・・・・ 1/4W でよし。
これを 4組。
喜んでいる場合では無い。原因が PAユニット(ファイナル)部分にあるということです。
PAユニットだと、ファイナルのFET(石 って書くのは昔の話かな)が不良の場合は とても高価です。
さらに、原因を追います。
やっぱり ファイナルの MRF174 が 壊れているのか。基板から外してみました。
2個のうち1個は テスターによるチェックでも、簡易チェッカーでも NGでした。
PAユニット基板。フィルターユニットの下にある。
確かに電解液がしみ出しては来ていますが、電源が入らないことについて、決定的な原因ではなさそうです。
そう思いながら交換しましたが、結果は.............
PAユニット基板の裏側をみてみると、電解コンデンサを交換した形跡が。
しかも ハンダ付けが イモハンダ。リードは 長く伸びていて ショートしてしまいそう。
まずは この辺を修復。ついでに 85℃のものがついていたので 105℃のものに換えた。
動作テストしたが 状況は変わらず。
元の持ち主が 故障したので、電解コンデンサなどを交換して修理を試みたものの、直らず 放棄したのかな?
こちらは ok のようです。
チェッカーで 検査。
unknown だって。
取り外した MRF174 2個
テスターのチェックで1個はNG
【 電源基板の電解コンデンサを交換 】
写真3 FUSEホルダが破損していた
写真2 後ろから
写真1 手に入れた IC736
電源入らず。
ICOM IC−736の修理
フィルターユニット
アンテナコネクターとつなぐジャンプワイヤーが ズタズタなので 見た目にも交換しようとおもます。
抵抗の形をした0Ωジャンパーがありますので これを使います。
次は、送信機能の復旧作業です。
50MHz帯の100W化
送信テスト。 100Wを確認。
50MHz帯は50W。
電源が入ったので 液晶に 多発しているトラブルは ないことがわかった。
でも 今後はわかりませんが。
液晶が ダメだった場合は LED化しようかな と考えていました。
切れたパターンをつないでみると 見事に受信が復活。
長い道のりでした。
回路図と プリントパターン図のにらめっこが 3日間続いたんですが これで解決。
送信のフィルターユニットのリレーも パネルのBANDを切り替えると動いているのを確認しました。
受信が動作しないことが判明したときには、素人には 修理する心が折れそうでした。
D17は サービスマニュアルの基板図ではこれでしょうか?
拡散キャップをつけた発光ダイオード
メータ部分に使ったのは1個です。
電流制限抵抗を通して配線/取り付け
写真は、NHK東京第一放送を受信している様子です。
アンテナは 2mほどのビニル線です。Sメータが 9+を示しています。
webで よく見るパターンは 電源ユニットの電解コンデンサの容量抜け。交換したら直ったような話が多い。交換してみます。
PAユニットの基板が NGなのは、ほぼ確定。では どこか判断するために 回路を切り分ける。
MRF174の特性図
PAユニットの 矢印の抵抗を外してみた。これで ファイナルのドレイン側と それ以前を分離できます。
この状態では RIGの電源が正常にはいります。
ゲート電圧は 受信時 0Vを確認。これで ドレイン電流が流れるのはおかしいことになります。
結果は、やっぱり電源はいらず。
電源スイッチを押すと、リレーの動作音のような音が聞こえる。一部 動作しているのか?
切り分けて原因を見てみる。
まず PAユニット(ファイナル)に 28Vを供給するコネクタを抜いてみたところ 無線機の電源が入って 受信音が聞こえてきた。
電解コンデンサの周辺のリードが黒く変色している