2023年 令和5年 3月18日 初回掲載
           6月 1日 最終更新

リレーには 「SSY9」と記載あり

基板から外した

問題のリレーの場所

リードリレーを交換しよう!

 一般的な シグナルリレー(小信号用)では だめでしょうかね。まあ オーナーの意向もあり リードリレーを探します。

パターン1(失敗)

回路図では、 矢印の箇所で 信号が 途絶えます。PHONO系統のミューティングリレーです。リレーの電磁巻線の端子には 電圧が確認できていますが リレーが動作していないようです。
リレーを基板から外して 電磁巻線を調べて見ると 導通が無いようです。
この リレーの不良が オーナーから 指摘のあった @ の原因のようです。

Technics SU−A4 の修理               
                                                                                               

今回は、1979年ころの プリアンプ SU−A4 の修理です。SU−A4は 10年程前に一度修理したことがあります。そのときの個体とは別の物です。

最初に申告のあった症状

 @PHONO入力が 音が出ない。
 
AAUX入力で 時々音が出なくなる。

これで 左右の信号電圧が揃いました。

これで 元に戻してみたところ、今まで電圧が小さかったchで 信号が大きくなった。でも 左右で バランスがおかしいです。


さらに 調べて見ます。

MCアンプに使われている電解コンデンサを 確認してみました。

ご指摘の症状を確認しました. 片ch 信号電圧が低いです。

4.これで直ったと思ったら....

  修理完了!と思ったら 新たな不具合がありました。
  オーナー様に返却したところ PHONO入力のMC入力で 片chで 音量が小さいと連絡があり もう一度点検となりました。
  片chは正常とのことですので、点検はしやすいかと。
  MCアンプ部は 下のようになっています。
  
  では、点検してみます。

ここまでの状態で 数日 様子を見て オーナー様に返却することにします。

リードリレー2個と ジャンパー線。
左側に 抵抗器(750Ω3W)見えます。

リードリレーと 抵抗を実装
そして ジャンパー線を 配線

PHONO入力に 低周波発振器を接続して オシロにて PRI OUTの 波形を確認。
これで オーナーから依頼のあった @PHONO入力で音が出ない件は 大丈夫でしょう。

実際のプレーヤを接続しての確認は オーナー様にしていただきましょう。

オシロで PRI OUTの波形を見ながら このスイッチをしばらく操作していると 症状が改善されるようです。
よって スイッチの接触不良と判断。

根本的な修理は スイッチの交換ですが 無理ですので スイッチを 操作を繰り返したところ症状が改善したので これで良しとしました。

3 申告AAUX入力で 時々音が出なくなる。について

  こちらについては お預かり後の確認で、AUX入力に限らず 各入力で 現象を確認しています。
  オーナー様からは AUX入力のRCAピンジャックのハンダクラックではとお話がありましたが、どうやら違うようです。
  こちらの調査では  下の写真の 「operation」 スイッチ と 「mode」 スイッチを 触ると(押すのでは無く 軽く触ると)オーナー様の申告のあった現象が再現されます。
  つまり 普段 操作しないスイッチの接触不良と判断しました。

右に示すような計算結果より R806を750Ωに変更。
耐電力は 1Wでも倍の余裕がありますが 小型の3Wを選択した。

発熱も パターン1と 比べて 1/5 以下にできた。

 750Ωは 手持ちが無いため 発注。

パターン2

1回路ですが 24Vのリードリレーが売られていることに気がつきました。これを2個使ってみます。
ただし アンプの基板にフィットさせることができないかもしれませんが、このアンプのオーナーに 代替部品を使うことを認めていただいていますので この方法を試します。

ここまで 信号を確認した

別件ですが....

ここで使われているFET  2SK146 ですが データシートが なかなか見つからず ピンアサインがわかりませんでした。CQ出版社の FET規格表でも 肝心のことが記載されていません。

やっとのことで、データシートにたどり着きました。 FET本体に ドレーン側に 刻印?があるんですね。

パーツは揃った。

さて 問題のリレー「SSY9」は リードリレーです。
別のタイプですが リードリレーでは 以前 FMチューナ ST-9300 を修理したときにも 使いました。
このときも 同じ物は手に入らず オムロンのリードリレーを代用として使いました。しかし、現在は 製造中止とり 代替品もないようです。
リードリレーを 専門に製造しているメーカーもあるようですが 販売店が見つかりません。個人向けの販売はないのかもしれません。

探した結果 似たものを見つけましたが 電磁巻線の定格電圧が 6Vのものです。
SSY9は 多分 24Vです。回路図を見ると 電圧42Vで駆動させているようで 直列に 2.2kΩの抵抗が入っているようです。この抵抗を変更すれば いけそうです。

リレーの電磁コイル

ブロック図では....

回路図では...

ここまでは 信号が来ている。

では 入手した リードリレーに置き換えるための 抵抗を試算してみます。

写真 上 : 問題の「リードリレー」です。電磁巻線に導通がありません。

写真 下 : 入手した 2回路のリードリレー ただし 電磁巻線の定格が 6V です。

抵抗を 552Ω にすれば良さそうです。(1.2kΩ2Wを 並列にしてみた)

しかし..... 抵抗で 約2.5Wを消費します。ということで かなりの発熱が予想されます。

ものは 試し とばかり A4に取り付けてみました。

リレーの電圧を測定してみると 設計通り 6V。ただし 思った通り 抵抗からかなりの発熱があります。周辺には 電解コンデンサが配置されていますので これは ダメですね。

解決策は、リードリレーの定格電圧が 高いものを使うしかなさそう。

1.毎度おなじみ サービスマニュアル

  では、お決まりですが サービスマニュアルを見て、全体の構成を頭に入れて 実機を調べていきます。サービスマニュアルは海外仕様ですが、電源部分が違うだけで あとは ほとんど同じです。





2.申告@PHONO入力が 音が出ない。について
 
PHONO入力に AF OSC(低周波発振器)をつなぎ オシロで信号を追ってみると、RIAAイコライザの出力までは 正常に信号が見えています。
 アンプの各部の電圧も正常のようです。

変色しているのがわかりますか?  交換してみます。

リードが変色していた電解Cを交換してみた。
チェッカーで見てみましたが 正常値みたい

基板のコネクタ部分をアルコールで清掃

基板の裏側 です

MCアンプを取り出してみた

サービスマニュアルでも リレーの規格は 不明。