TRIO TS520Vを修理する。                          令和3年11月6日〜 令和3年12月2日(木)



  先日、知り合いから 処分したい無線機があると連絡があり、捨てるなら とりあえずいただきます! ということで 入手しました。
電源を入れ、ダミーロードでテストすると、送信、受信ともになんとか動作している様子。
VRや ロータリースイッチに接触不良がありましたが 何回もまわしているうちに 症状も落ち着いてきた。
最後に残ったのが VFOの接触不良?の症状でした。
これは,以前 TS120Vの修理のときに 同様の症状がありました。TS120Vのときは、何回もダイヤルを回したところ症状が改善したのですが 今回はこの方法ではダメのようです。

出力電力が 60〜70Wくらいにしかならない

電力計で計ると 70W程度にしかなりません。
このRIGの定格出力は 80Wだそうなので こんなもの といえば.....
ちょっと 気に入らないので 調べて見た。入手した終段管が中古なので 仕方が無いかと思ったのですが スクリーングリッドに Vタイプ(10Wモデル)は R22 12kΩ L4 220μH が 追加されていて 電圧が下げられているみたい。この2つをパスさせればよいのか?

やれやれ。無事 これにて終了かと思ったら......


なんと 数時間後 電源を入れてみると..
「パチッ」という音とともに ヒューズが切れた。

調べて見ると 500V100μFの ケミコンに穴が空いてる。スパークした跡ですね。

ダイオード D1、D4 を 基板から外して、極性を逆にして 取り付け。(シルク印刷通りにする)

矢印のジャンパーを外して、点線のところをジャンパーする。

R1からR4に 470kΩ(1/2W以上)をつける。(R1のところにはジャンパー線があるようですが 外します)

さて、VFOの症状ですが、メモリで 200付近と 450付近で 不安定になります。おそらく バリコンの接触不良か ゴミがついているかかと想像しています。
VFOユニットを開けてみようと思います。

配線完了。

動作テストをして 無事 動作を確認できました。

故障の原因は 電解コンデンサ でした


これにて 

新品のコンデンサを注文。やっぱり 中古の電解コンデンサは 止した方がよかった。
新品が それほど高額でないなら 新しいパーツがよかったです。
中古品が 1800円程度。新品が 2530円。反省。
念のため ダイオード(10本 180円)も交換しました。

シャーシに取り付けて 配線。
元についていたケミコン− から 増設ケミコンの+へ
−極は GNDへ

高さ 60oのケミコンです。
70oのタイプは 本体に収まりません。

本体横のバイアス調整で、プレート電流のアイドルを60mAに設定するそうです。

K,G3
BS
H
K,G3
G1
K,G3
G2
H

手を加える前のファイナル基板です

ファイナル基板の変更

次に、ファイナル部分のパーツ集めですね。
ファイナルの球は 手に入りそうです。基板用の真空管ソケットや 周辺パーツですが Y!オクで 調達することにしました。
10Wのモデルのファイナル基板を購入し パーツを外して使います。この方が 少々お値打ち?。

 

電源回路の変更

 ・整流基板 と 平滑コンデンサ

ここに紹介している情報を元に作業される場合は ご自身で 回路図などで十分に確認してください。 掲載時に 抜けがあったりした場合 高圧回路ですので 危険です。 私は責任を負いませんことをご了解ください。 自己責任でお願いします。

左の図が、100Wモデルの電源部分周辺の回路図です。
これを見て、あれ? おかしいぞ? と 思われませんか?

電源トランスの 800Vタップから 倍電圧整流回路にいく回路になっていますよね。
もし この通りなら ケミコンC31 C32 と セラミックコンデンサ C29 C30 は 耐電圧 1kV程度を使わないと パンクしてしまいますし、ファイナルのプレート電圧は 800V×2(ほんとは×√2)で 1600V以上加わることになり 矛盾しています。

100W化するにあたって、手順は OMのHPなどで紹介されていますが、回路的に おかしい ということになります。
私は この件で 数日 頭を抱えてしまいました。

答えはわかってしまえば な〜んだ! ということに。そんな オチが......

電源トランスに書いてある(回路図に書いてある) 400V や 800V というのは 実は 400Vタップは AC310V 程度  800Vタップは AC370V程度なんだそうです。

トランスに表示してある電圧は 整流+平滑+負荷 の電圧みたいです。

そう そんなオチが 待っていたか! という感じでした。 

自分でトランスの電圧を計ればよかったんですが、AC800Vを計れるテスターを持ってなかったため はじめから電圧を計るという選択肢を放棄したのがダメですね。なんでもやってみないと。 でも 感電注意!

注文していた追加するケミコンが到着しましたので ケミコンの取り付けと配線をします

ケミコンに 0.01μF(耐電圧500V以上) と 470kΩ(1/2Wでたりるが 手持ちの関係で1W)をつけます。
念のため、元々ついていたケミコンについてる470kΩも ほんとに470kΩか 確認した方が良いかもしれません。
大きく違っていると ケミコンが やられます。被害甚大!

100W(80W)化について

TS−520Vの時代でしたら 100Wの純正キットがあったり 情報もたくさんあったのでしょう。
もう オールドRIGですので 情報が少ないのですが 回路図や OMの記事を見ながら やってみます。

取説によると 10wモデルは....

1.ファイナル S2001A が 1本
2.グリッドに 15pFが 足してある。
3 ヒータに 6.2Ωが直列に入っている。
4 FANがない。ACヒューズが 4Aになっている。
5 終段プレート電圧が400Vで 整流回路がブリッジ整流になっている。高圧ケミコンが1個ない。
  整流回路の基板が 異なる。
6.マーカーユニットがない。
7.28MHzのパワーダウン回路が無い


と 解説されています。

私のものは、 FAN と マーカーユニットは ついてます。仕様が変わったのか 元のオーナーが オプションをつけたのか?

470kΩ 1W 抵抗

電球が到着し 取り付けました。貴重な電球を 少しでも長持ちさせたいということで 電球の電圧を下げようと思い、抵抗(10Ω 2W)を直列に入れてみました。
取り付けにちょうど使えるラグ板があるので 利用しました。
抵抗での電圧降下を調べると およそAC1.5Vくらいです。

電球が届くまでの時間で、ツマミ類の清掃をしました。台所用の洗剤と 100均の歯ブラシで汚れを落として、乾燥させてあります。

バリコンのこの部分の接触が悪いのかな?と 予想。
VFOのカバーを開け 見てみます。

ベアリング部分の清掃と バネ部分の清掃を実施。  バネ部分の写真を撮るのを忘れました。

図10を参考にネジを外すとVFOユニットが出てきます。
配線の結束を外した方が作業が楽です。

サービスマニュアルに従い、固定チャンネル−AVR基板を外す。
配線を外す必要はありません。基板を少し移動して これからの作業ができれば良いようです。

つぎに 調整用のつまみの隠し蓋のスポンジですが ボロボロになっていましたので 張り替えました。
ちょうど タカチのスポンジのストックがありましたので利用しました。

ここで 照明ランプが切れていることがわかりました。4個あるうち 3個で 電球切れ。

サービスマニュアルによると 定格は 12V 40mAの電球とのこと。
LED化も考えましたが、ここには AC14V程度が来ています。LEDの逆方向耐電圧は 一般に数V(5V前後)なので
 LEDにするには 整流しておく必要があります。
ということで 面倒なので 電球を探すことにします。

40mAかどうかはわかりませんが 交換できそうな電球が 138円(税込み)で 販売されていますね。
中古のTS520からの取り出し品も Y!オクにもあります。

本体にVFOユニットを戻す前に、オシロで 単独テスト。電源をつなぎ オシロで波形を見ます。
VFOをまわし、波形が途切れないことを確認しました。

では、分解した逆の手順で組み込みます。

固定チャンネルの基板を戻すときに、鉄板の台?の ファイナルユニット側のネジは 絶縁されていることに注意です。

元に戻したところで 再チェックの上 電源を入れ、異常が無いことを確認。OKのようです。

VFO部分の分解手順があります。実機をみても なんとなくわかりますが 再組み立ての時に
とても助かります。

ネジを忘れたりしないためにも......

インターネットの普及する前なら入手困難だった サービスマニュアルが 簡単に手に入るようになりました。
ありがたいことです。

修理メニューへ

これはいけませんね。どちらかが 先にやられて、もうひとつも道連れかと。

プレートに寄生発振防止(パラ止め)の配線をする。
こちらも 部品取りを入手。これくらいなら自作もできますが。

6.2Ωと15pFを撤去

さらに この後の工程のために基板を固定しているネジをとり 基板を起こす。

撤去したリード線を再利用(しなくても良いが...)ケミコン−端子にハンダ付けしておく

ケミコンの − の GND配線を撤去し トランス 0Vからのリードを配線

写真のように 無事 100w でました。 1.8MHzでは 100w強 28MHzでも90w くらいでした。

ようするに、ダミーロードを接続し、通常運用する状態に 調整。
モードをCWにして 送信。キャリアは だいたい12時のあたり。このとき、本体のメータを RFに切り替え、IPの目盛りで だいたい200mAに合わせる。
まあ 振り切らない程度に合わせておけば良いみたい。

ソケットの向きが同じになるよう注意して 基板に挿入。
 

ヒーターを直列になるよう配線。
カソード同士を 接続。カソード抵抗が 元々の球の部分に2本ついていたので1本は増設したソケット側に移動。直流的にはどっちについていても同じですが高周波的に考えて移動してみた。(余計なお世話か?)
そのほか コントロールグリッドやスクリーングリッドなどの配線、セラミックコンデンサなど入手した部品取りの基板から移植

何度も見直して 基板をネジ止め。

部品取りに購入した 10Wモデルの基板 パーツを移植します。

まずは 真空管 GTソケットを 準備。

D4 と D1の極性を入替(シルク印刷通り)
D1の上のジャンパーを点線のシルク印刷の場所に移動
R1の場所のジャンパーをとり、R1からR4(470kΩ 1W)をハンダ付け

左の 800 400 AC800のリード線を取り去る

トランスの800Vタップと 整流基板のAC800
下の小さな基板の800 と 整流基板の800 を接続
整流基板の800 から ケミコンの+
トランスの 0Vから リード線を出しておく
整流基板の400は 空き

写真は 改造前

フロントパネルをとりました。つまみを止めてるネジが 想像以上にかたく締めてありました。

after

before

こんな感じに VFOユニットがお目見えします。

VFOユニットから 2ピンのプラグと 同軸のプラグを抜く