初回掲載 2004年(平成16年)
Technics RS-1500U
昔,オープンリールテープデッキが欲しかった。しかし,当時学生の身分ではとても手の出る代物ではなかった。それから年月がたち(昭和62年頃?),やっと買えるようになったときには,すでにメーカー各社はオープンリールテープデッキから撤退し 残っていたのは「TEAC」の X−2000M だけだった。
そんななか ネットオークションで Technics RS−1500Uがたびたび出品されていたが 手の出る価格ではなかった。
ある日,不調品ではあるが RS−1500Uが出品されていた。故障の内容を読むと なんとか自力で修理が出来そうな内容だため落札しました。
新たに RS−1500Uを 2台修理することになりました。
修理報告は 新たにページをつくりました。
更新 2020/1/24 kon
5 録音機能のテスト
音楽ソースに接続して,録音のテストをします。
テスト 1 モニタースイッチをソースに切り替え VU計の振れや LINE OUTに出てくる信号,ヘッドホンに出てくる信号を検査する。その結果 特に異常は認められず。
テスト 2 テープをセットし 録音を始めた。とりあえず 録音は 両チャンネルともに出来ている。しかし 右のチャンネルだけ高音が出ていない。録音レベルも左に比べて 4VUほど低い。
障害の予想
録音ヘッドに問題があるのか?
上の図の中で 2トラック録音ヘッドの 赤と紫の線を入れ替えてみます。
その結果,不良のチャンネルは はじめの右チャンネルから左チャンネルと変わった。よって 故障箇所は 録音回路と断定する。
実験
ヘッドブロックを取り外し,録音ヘッドの配線を入れ替えてみます。
2どこがおかしいのかな
上記のような状況から,キャプスタンモーターの制御回路であろうと予想した。
@製造後25年を経過しているので、キャプスタン制御回路の電解コンデンサを取り替えてみた。しかし変化は見られなかった。
Aそこで,動作の確認をしてみる。クォーツ(水晶)発振回路の出力波形をオシロで確認するが 異常は見られない。ピッチコントロールは 無安定マルチバイブレータで構成されているが,発振回路の出力波形をオシロで観測したが特に異常は見られない。
Bサーボキャプスタンモーターの FG 信号を追ってみることにした。
8録音回路を調査する。
実際に 録音して状況を 再確認。右チャンネルのみ,低周波発振器の周波数を変えてみると,50Hz程度では 右チャンネルは正常動作。周波数を上げるとレベルが低下し 20KHzでは 左チャンネルに比べ 10VUほど低下している。
6時間程度連続動作テストをしてみるが 問題なく手持ちのテープを再生できた。ストロボスコープも問題なし。さあ,次は 録音機能のテストです。
このように 黒くなっている場合 トランジスタの足の根本にカーボンが付着している場合があるそうです。
このカーボンに電流が流れて 動作不良の原因になる事があるとの情報を いただきました。
カッターなどで カーボンをカリカリ削ると直るかもしれないそうです。
古いトランジスタは入手難の場合も多そうですので 確認してみる価値ありですね。
2009/05/04
回路
問題の録音レベル調整のVR。接点復活剤で復旧。
録音アンプ部分。オシロで信号を追うが異常は見あたらない。
久しぶりにページを修正しました。細かなパーツが見えにくくなってきたため PCの設定も 画面表示を大きくするようになりました。すると バランスが悪いので少々直してみました。
このオープンデッキに関するお問い合わせをいただくことが多いようです。ということは 愛用されている方が多くいらっしゃるのだなと 喜ばしい限りです。
更新 2017/12/24 kon
ブロック図の通り 原因は「録音イコライザーアンプ」か「発振回路」ということになる。
6
録音回路の故障箇所の特定
このテクニカルガイド以外に 英語版ですが サービスマニュアルがあるようですね。詳細に記述されていました。
ありがとうございます!
更新 2011/01/04
今回の修理で非常に役立ったのは.....
参考までに RS−1500U の 取扱説明書です。
PDFファイルがエラーになり見えないページがあるとの連絡をいただきました。
adobe acrobat7で スキャナから変換しているのですが 原因が良くわかりません。
upロードする前は正常なのですが upするとエラーになります。
とりあえずいろいろ試して エラーがでないことを確認しましたので ご利用下さい。
2009/05/04
おわりに
なんと申しますか アナログのオーディオが 好きなんです!現在のように 何でもワイヤレスリモコンで 離れたところから ピッ てのも 便利なんですが
装置の前で テープをかけて音楽を楽しむ。これがいいんです。
LPレコードも大切にしてますよ。CDは きかないのかって?そんなことはありません。別に いい物はなんでもいいんです!
この時代の装置は 素人のオーディオファン(マニアではありません)にも 回路を追って修理をすることが出来るので メーカーで修理対応を断られる古いものでも 大切に使っていけるんです。
では,みなさんも すばらしいオーディオライフを!
更新 2009/05/04 作者 kon
愛用していた RS−1500Uが 2010年暮れに 片CHの音が 出なくなりました。正確には少しは出るのですが著しくNG状態になりました。
正月休みを利用して 中古(ジャンク?)で入手以来,久しぶりにネジを外し内部にご対面と相成りました。
結果は.....
原因は,ヘッドブロックコネクタの接触不良のようでした。ヘッドブロックを六角レンチで3カ所のネジを取ると外せます。ついでにほこりをとりもう一度装着したところ元通り音が出ました。
これで一安心です。ヘッドがダメになっていなければいいと願っていたので良かったです。
ついでに エアーコンプレッサーで内部のほこりをとばして元通りネジを閉めオーディオラックに収納しました。
録音回路
発振回路
交換したトランジスタ2SA798
複合トランジスタなので 足が5本ある。
なぜか 足が黒く変色している。フラックスの影響でしょうか?
ほかのトランジスタにはこのようなことはありませんでした。
これで 完全復旧!
再生機能修理完了
問題の回路基板付近。メンテナンスしやすいように簡単にはずせるようになっている。
裏カバーをはずした様子
パーツを交換する。
TR901のベースから順に信号をたどってみる。TR903(2SA798)の波形整形回路を境に状況に変化が見られる。
波形整形回路の前では,動作異常時に波形を観測すると 周波数が変動する。しかし,TR903 波形整形回路以降では,動作異常時に波形が消滅する。
そこで,このTR903(2SA798)を交換してみることにする。
2SA798を売っている販売店を探したところ,通信販売をしている「樫木総業株式会社」 http://www.kashinoki.co.jp/index.shtmll で購入した。
注文から2日後に トランジスタが届きました。早速交換してみることにしました。
まずは,原状の確認
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回路の調査
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